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2元代表制と議会の役割

はじめに
 地方分権が叫ばれて久しい。政権交代により民主党政権が誕生し、地域主権改革を行うとしている。国の権限・財源を大幅に地方に移し、より身近な所に裁量権・決定権を移すものだ。地方に能力があるのかという官僚や一部首長の抵抗等により、政権発足時の地域主権が民主党政権の政策の1丁目1番地というような熱気は冷めつつある。
 あらためて地方自治の根幹をなす2元代表制を考え、そして地方議会の役割とは何かを探り、議会はどうあるべきかを探ってみたい。

最近の特徴的な地方自治の動き
 鹿児島県阿久根市では、当時の竹原信一市長の言動により市政が混乱。市長と議会が対立しリコール合戦が行われた。2009年2月には市長不信任案が全会一致で可決。市長は議会を解散、3月に市議会議員選挙が行われた。4月の臨時市議会において再度市長不信任案が可決、市長は失職した。5月出直し市長選挙において竹原市長は復活した。
 市長と議会の対立はいよいよ激しくなり、竹原市長は議会を招集せずに予算をはじめ副市長選任など重要案件全てを専決処分(本来議会の議決が必要だが、議会を開くいとまがない時などのまさに例外規定)を連発することで市政運営を行った。鹿児島県知事は、法に基づいて議会を招集及び専決処分の撤回など2度にわたり是正勧告、鹿児島県議会は阿久根市長への抗議決議をしたが、竹原市長はすぐには応じなかった。
 2010年9月の市民による市長解職請求により12月リコール投票が行われ、解職賛成票が過半数を占め、ようやく失職した。出直し選挙に再度立候補したが、市長を解職請求した市民グループ候補が当選した。しかし混乱は続き、市議会解散請求が行われ、投票の結果市議会は再び解散された。2011年4月市議会議員選挙の結果、竹原氏派は過半数に届かずやっと混乱に終止符がうたれた。(この混乱の結果阿久根市民には何が残ったのか大きな疑問がある。)

 時を同じくして大阪府では、2008年に登場した橋下徹知事がテレビをはじめとするマスコミ人気を背景に、教育委員会をはじめ自分に従わない者を悪役に仕立て、自らを悪役と闘っている府民を代表する知事であると世論づくりをする手法で、府政を進めていた。
 府庁舎移転問題など議会と対立を深めていた橋本知事は大阪府の形を変えると政治団体「維新の会」を主宰し、代表に就任。2011統一地方選において全選挙区に「維新の会」から府議候補者をたて闘い、知事の人気をもとに多くの府民の支持をまとめ府議会で過半数を獲得。府下市町村においても吹田市長をはじめ多くの維新の会所属市議会議員が誕生した。
 その結果、大阪府、大阪市、堺市において「職員基本条例案」(公務員の懲戒・分限処分の基準を定め、恣意的な処分が可能とするもの)、「教育基本条例案」(教育行政への政治関与を明記し、恣意的に教員を支配しようとするもの)等全国的にも例のない内容の条例を議員提案という形で上程可決させようとしている。
 また、大阪市長が我が意(大阪都構想)に賛同しないとして大阪市長選挙に合わせて知事の職を辞し、我が意の大阪都構想が争点だとして大阪市長・府知事ダブル選挙に持ち込んだ。もちろん自らは市長選挙に出馬し、府知事選には[維新の会]から傀儡候補者を立てた。11月26日にはその結果が出ていることだろう。(大阪府民並びに市民の良識に期待するところだが…)
] ]  選挙において短い言葉で悪物を仕立て、二者択一を迫るやり方で勢力を伸ばしてきた「維新の会」の政治的な手法に危うさを感じる。いったん選挙に勝ったことによって、あたかもすべてを選挙民から白紙委託されたように振る舞うことは、ファシズムの独裁政治を想起せざるをえない。

 2011年4月名古屋市では、衆議院議員から転身した河村たかし市長が、減税・水道料金値下げ・職員人件費削減:10%等をマニフェストに掲げ登場する。
 マニフェストでは10%削減であった議員報酬を半額にする条例案を提出し議会は反発し否決。また、河村市長の財源手当てのない恒久減税策は議会の理解を得られず、議会は単年度減税に修正した。一方で議員提案で成立した「名古屋版事業仕訳条例」を公布せず、効力を発せないままにしたことなどから、河村市長と議会の対立は深まっていった。
 この様な状況の下、河村市長は政治団体「減税日本」を立ち上げるとともに、自らのマニフェストに反対する議会は議会の役割を果たしていないとして先頭に立って議会リコール運動を展開した。政令市では初めて住民投票が行われ、議会は解散、自らも辞職して2011年1月の市長・市議ダブル選挙に持ち込んだ。結果、河村氏は再選を果たし、「減税日本」が過半数には届かなかったものの定数75人中28人を占め第1党となった。

 一連の首長の共通する主張は、「首長選挙においてマニフェストを掲げて選挙を闘って当選した。有権者はこのマニフェストを承認している。マニフェストに反対する議会は、悪者あるいは役割を果たしていない。」この論理は果たして正しいのだろうか?このことについて以下検討してみたい。

2元代表制とは
 国は議院内閣制という制度で、衆議院議員の選挙により衆議院の多数(与党)を占める政党などから首相が選ばれ、内閣が組織される。したがって多数である与党は、首相が実行しようとする政策に当然協力するということになっている。しかし国会は衆議院と参議院により構成され、それぞれ別の選挙方法によって国民の選挙により選出される仕組みとなっており、衆議院の議決を参議院が再度審議するということで一方の考え方で物事が進むのではなく牽制機能が備えてある、
 一方、地方は国と違って首長と議会議員がその地域に住む住民によりそれぞれ直接選挙で選ばれる仕組み‐2元代表制となっている。首長と議会はそれぞれが住民を代表しており、お互いにその権能において牽制機能を発揮することが求められている。(当然与党は存在しない。)つまり、首長と議会の意見は合っている場合もあるが違っていてもそれが制度的に当たり前に設計してある。

 しかし、このことを勘違いしている議員並びに関係者は多い。

  首長・議員の役割
 首長の役割とは、かなり大雑把にいうと①自治体を代表、②議案及び予算案をつくり議会に提案、③議会を招集し、議会の議決を経てそれを執行する(自治体行政運営)こと。
 議員の役割とは、①住民の意見を取りまとめ、首長・議会に対し政策提案、②行政への監視・牽制、③首長が提案する議案・予算案、議員が提案する議案・決議、住民が提案する請願・陳情等を議会という開かれた場で議論し最終的に決定すること。
 よく首長と議会の権限において、「首長は予算提案権があるので首長絶対優位だ。」ということを耳にする。果たして本当だろうか。
 議員は実際、予算案は提出できないが、予算修正は可能(増額修正はできないとする説も)であるし、議案提案や政策提案もできることになっている。これらのことからすると、制度上決定権を握っているのは議会、計画・執行は首長であるといえる。したがって、議会が制度上は優位になっているのである。

議会の現状は
 しかし、多くの地方議会においては、首長提出の議案・予算案は99%そのまま可決されている実態がある。2011年朝日新聞の調査では

 全国の地方議会のうち、首長が提出した議案をこの4年間で一本も修正や否決していない「丸のみ」議会は50%、議員提案の政策条例が一つもない「無提案」議会が91%、議員個人の議案への賛否を明らかにしない「非公開」議会が84%――。朝日新聞の全国自治体議会アンケートで、こんな議会のていたらくがはっきりした。いずれにも当てはまる「3ない議会」は全体の3分の1に及ぶ。2007年1月からの4年間で、首長提案の議案数は1議会あたり平均414本。修正または否決が3本以下の議会が全体の82%を占めた。
 地方分権に伴い、議員には住民のくらしに即した条例づくりが求められるが、4年間で議員提案の政策条例の制定数が1本以下の議会が98%にのぼった。
 個々の議員の議案への賛否は、議員の評価に不可欠な情報だが、公開している議会は16%しかなかった。
~朝日新聞 2011年2月12日記事

件数において、議員提案の条例や予算修正等は首長が提案する件数に対し圧倒的に少ない。
「自治体議会改革フォーラム※1」の2011年実態調査によると
 2010年中に可決された議員提案の修正案及び政策条例の可決件数は、調査に応じた1,692議会中それぞれ202件及び68件にしか過ぎない。
 また、議会の意思を決定するにあたって、議員個々の議案の賛否を公開しているのは一部も含め116議会全体のわずか6.9%に過ぎない。

 この実態に透けて見えるのは、法律の専門家でもなく専門スタッフを抱えてもいないそれぞれの議員が、①専門スタッフを抱える首長の提案は間違いがないだろう、②首長提案に賛成する取引で議員自らの提案を首長に取り入れてもらおう、③首長提案に関心がない、④内容があまりよくわからないが首長提案だから賛成しておこうなどという議員の行動が見て取れるのではないだろうか。
 議会は自治体の最終決定の場でありながら、議員自身はこの重要性をあまり理解していない。また、決定した責任は議会(非常に重い)にあり、執行した責任は首長にあるのである。ところが、決定した責任を忘れ、全て首長の責任だと追及する議員が多いのではないだろうか。
 一方で、阿久根、大阪、名古屋の議会は議会の役割を十二分に果たしていたと見ることができるのではないか。制度上も実態もましてや首長側から非難されることは全くないといえる。

民主主義とは
 民主主義とは個人の意思の集合をもって物事を決める意思決定の原則・政治体制とされている。直接民主制と間接民主制があり、合議のうえ決定していくことが何よりの基本である。
 対比する言葉は独裁。崩壊したリビアは直接民主制そしてお隣の北朝鮮は間接民主制となっていたが、果たしてそれが機能していたのだろうか。多くの国がこの2国を民主制という皮を被った独裁制だと思っていたのではないだろうか。
 我が国に当てはめると、首長はどんなに多くの住民の意見を取り入れようが、最終的に首長の一人の意思で物事を決定する。しかし、議会はそれを対等な議員同士が合議で最終決定することで民主主義を担保しているのだということを再確認したい。
 大阪、名古屋の例のように、どうしても首長の方がマスコミに取り上げられやすい。議会を悪役に仕立て、敵と味方の理論で薄っぺらい世論をつくるやり方は独裁という大きな危険を孕んでおり、民主主義の国としては大いに警戒しなければならない。

今議会改革の流れが
 見てきたように、民主主義は議会があって初めて成り立つ制度である。しかるに地方議会はこれまでその権能も含め役割を果たしてきたとはとても思えない状況にある。2005年北海道栗山町議会が全国に先駆け、このような状況を踏まえ議会改革が必要だと考え、議員提案で「議会基本条例」を制定した。

 栗山町議会基本条例前文抜粋~議会は、その持てる権能を十分に駆使して、自治体事務の立案、決定、執行、評価における論点、争点を広く町民に明らかにする責務を有している。自由かっ達な討議をとおして、これら論点、争点を発見、公開することは討論の広場である議会の第一の使命である。~積極的な情報の創造と公開、政策活動への多様な町民参加の推進、議員間の自由な討議の展開、町長等の行政機関との持続的な緊張の保持、議員の自己研さんと資質の向上、公正性と透明性の確保、議会活動を支える体制の整備等について、この条例に定める~
~条例の特徴として~
・請願、陳情を町民からの政策提案として位置づけ
・重要な議案に対する議員の態度(賛否)を公表
・議会報告会の開催を義務化、意見交換のための議会主催による一般会議の設置
・議員の質問に対する町長や町職員の反問権の付与、5項目にわたる議決事項の追加
・議員相互間の自由討議の推進     などがある

 この条例は議会が自らの役割を再認識するとともに、住民に対しその役割を約束したものとして、全国の自治体議会関係者に衝撃とともに伝わった。2011年3月8日現在都道府県15、政令市4、特別区0、市94、町51、村4、計168議会で制定されている。全体の1割までまだ到達していない現状であるが、これまでの議会の実態からすれば当然ともいえる。歩みは遅いが確実に今地方議会は変わろうとしている。

 地域主権の流れはもう止まらない。住民により身近な自治体が財源・権限を手にする。2元代表制の下でそれを決定するのは議会である。これまで国が敷いたレールの上で、はみ出すことはなかったが、今後はレールのない道を踏み外さぬよう議会のチェック機能が益々重要となる。独自スタッフも抱えておらず、議会事務局職員も十分でない現状において、議員提案の条例を多くつくる能力は議員・議会にはない。年に1本か2本できれば上出来である。今必要なのは議案決定過程の透明化、議員間討論の徹底、議案の賛否の公開、決定責任の明確化である。この賛否の公開をすることにより次期選挙の有権者への材料に供する。有権者が議員を選ぶこれまでの基準を変えていくことが民主主義の深化定着につながる。議会も変わらねばならないが、有権者も変わらなければならない。
 このような問題意識をもちながら、統一県議選でこの重要性を訴えてきた。当選後の鳥取県議会においても議会改革推進会議が組織され検討を続けているところである。現在までの到達点は、①議会基本条例を制定、②議会だよりを発行し、議案の賛否の公開等である。まだまだという感はあるが、議員35人の合意を大事にしながら、機能あるものとできるよう不断に改革を行っていくよう努めたい。

自治体議会改革フォーラム※1   呼びかけ人代表:廣瀬克哉 法政大学教授
自治体議会を、市民、議員、首長等の自由な討論による「民主主義の広場」へと変えるため、市民活動や自治・分権、自治体改革、条例づくりなどに取り組んできた、市民や研究者らの呼びかけで、2007年1月25日に発足